銅屋根クロニクル

No.105

天下の険(けん)に佇む修験道の社 箱根神社(神奈川)

(1/1) ルーフネット 森田喜晴

富士山をバックに芦ノ湖の湖上に佇む箱根神社の「平和の鳥居」。昭和27年(1952)、サンフランシスコ講和条約締結と当時の皇太子明仁親王の立太子の礼を記念して建立されたもの。鳥居の扁額は、昭和39年(1964)、東京オリンピック開催と鎮座1,200年を記念して掲げられたもので、吉田茂元首相の筆による「平和」の文字。湖を背に鳥居から階段を上がると、一直線に杉の大木が連なり、樹齢1200年の矢立杉、仇討兄弟の曽我神社を経て、本殿に至る。本殿の背後には県天然記念物に指定された姫沙羅の群生林が広がる。

箱根神社は鎌倉時代の『貞永式目』起請文の中では、国中の神々の筆頭にあげられたほど鎌倉幕府の崇敬と保護を受けた。箱根山の最高峰で、神の山といわれた神山(かみやま標高1,438m)に鎮座する箱根大神=箱根権現(瓊瓊杵尊 ににぎのみこと、彦火火出見尊 ひこほほでみのみこと、木花咲耶姫命 このはなさくやひめのみこと、三神の総称)を祀る。さらに古くは、主峰の神山そのものを御神体としていたことから、山岳信仰の一大霊場になっていた。

伊豆山神社と共に「二所権現」に指定され、三島大社と併せて「三社詣」が行われるなど、北条氏の時代まで特に武家たちの信仰を集めた。

箱根神社の社史によれば、現在の地に社殿を建立したのは万巻上人。万巻上人は奈良時代に始まる神仏習合の先駆者で、神と仏を結び付けた聖僧(しょうそう)と言われている。万巻上人が天平宝字元年(757)、箱根山に入峰し、箱根大神の夢告を天皇に奏聞して、現在地に創建したと伝える。その後、伝承では、万巻上人が人々を苦しめていた芦ノ湖の九頭龍を調伏し、現在の九頭龍神社本宮を建立して、九頭龍を守護神として祀ったとされる。駒ケ岳の山頂では現在も10 月24 日に御神火祭が行われており、古代における神山への祭祀の名残を示しているという。

平和の鳥居と富士

神門

拝殿右

隣接する九頭龍神社から見た拝殿

本殿棟

拝殿の樋の取り回し

本殿の千木と鰹木

本殿妻側

あんこう

鎌倉幕府の公式記録『吾妻鏡』には石橋山の戦いで敗れた源頼朝を箱根権現の別当が助けたとの記録があり、以降、関東の武家の崇敬を受けるようになった。天正18年(1590)、豊臣秀吉の小田原征伐の際に焼失したが、徳川家康が社領200 石と社地不入の朱印状を寄せ社殿を再建した。長らく金剛王院東福寺が箱根権現の中核であったが、明治の神仏分離の際に別当は還俗して神職となり、箱根神社に改称した。

本殿右手には九頭龍大神を祀る九頭龍神社の新宮があり、その手前には箱根大神の鎮座する箱根

山を源とする御神水である龍神水が流れている。容器に入れて持ち帰る人が多い。その他、宝物殿、箱根山七福神の恵比寿社、弁財天社、万巻上人奥津城など見所は多い。

アクセス:
①小田急高速バスで新宿から元箱根へ。
②小田急線で新宿から湯本まで。湯本から「箱根・元箱根行」バスで60分。または湯本から登山電車で小涌谷駅下車→箱根・元箱根行きバスで箱根神社へ。または湯本から、登山電車で終点強羅駅→箱根ロープウェイで終点桃源台駅→芦ノ湖観光遊覧船で元箱根港→徒歩10分

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