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用語集

金属屋根工事や板金工事では独特な用語が使われており、普段の生活では馴染みがなく意味が分かりにくいものが多くあります。そこでいくつかの用語について、解説を掲載します。
解説は、旧亜鉛鉄板会が発行しておりました『亜鉛鉄板』誌のVol.44 №5及びVol.45 №5より引用しております。執筆者はナガタニルーフシステムの永谷洋司氏です。記して感謝の意を表します。
なお、掲載にあたり省略等を行った箇所があります。

【あ】

亜鉛鉄板の呼び名 (あえんてっぱん)

亜鉛鉄板の数ある呼び名を拾い集め、表のようにまとめてみました。

なお表中
1)は、平井聖著「屋根の歴史」に掲載されている用語
2)は、亜鉛鐵板讀本の中の戸田運也著「トタン板雑考」に掲載されている用語
3)は、戸田運也著「トタン板雑考」に引用されている用語で大槻文彦著「大言海」によるもの

区 分 呼び名 摘  要

通常の
溶融亜鉛めっき
鋼板に関する
用語

日萄(タウタン) 1) ポルトガル語と思われるが不明
トタン 1) ヒンディー語と思われるが不明
  3) 江戸時代の米相場の呼び名という解釈がある
釷釩 1) 文久元年(1861年)に記録がある
亜丹板 2) 東北地方で用いられた呼び名で「平板亜丹板」といった
止多牟 2)  
1) ブリキ板と混同していると思われる
葉板 1) ブリキ板と混同していると思われる
塗炭 2) この意味はかなり拡張解釈されていると思われる
トタン曾所 2) 芝増上寺の釣鐘に端を発した亜鉛相場の意味でやや異なる
亜鉛鍍金    
亜鉛引    
亜鉛引薄    
亜鉛メッキ鋼板   JES  金属 0466
亜鉛    
亜鉛鉄板  

昭和15年発行の「亜鉛鐵板讀本」の表紙は「亜鉛鉄板」

亜鉛めっき鋼板    
溶融亜鉛めっき鋼板   現JIS の名称
GIシート   建築設計図に見られる単語、Galvanized Iron Sheet の略

波板に関する
用語

生子板 1),2) 明治5年の鉄道日誌、日本科学技術大系の建築技術編
生子銑 1)

明治5年の鉄道日誌

トタン蒲鉾板    
蒲鉾板 1)

明治5年の鉄道日誌

波形板 1)  
波形    
波形鉄板    
1)  
波鉄板 1)  
波板   現JIS の名称、ただし溶融亜鉛めっき鋼板の波板である

ぶりきに関する
用語

ブリキ 2) 嘉永年間(1848~1854年)出版の「蛮語箋」に出ている
ブリキ板    
錻力 1)  
武力    
ぶりき  

現JIS の名称

鮟鱇 (あんこう)

軒どいと竪どいをつなぐ部材の名称をあんこうと呼んでいます。形状は図のようなもので、「三味胴」と「角胴」が代表的なものです。あんこうは鬼板(鬼瓦)などとともに板金職のもっとも腕の揮える部分で、これを作るときは各々最高の技術を屈指したものです。
あんこうは装飾を施したものが多く「飾りあんこう」と呼ばれています。
鮟鱇の呼び名の由来は定かではありませんが、多分魚のあんこうの料理法に「あんこうの吊るし切り」という方法があり、この料理の仕方が、大量の水を含み、さらに形も何となく似ていることから、あんこうと呼ぶようになったとも考えられます。

仇折り (あだおり)

板金工事でよく見かける工作法の一つです。別に「徒折り」、「空折り」とか「無駄折り」ともいい、若干意味が異なるかも知れないが「水返し」とも呼んでいます。
役物によく見かけますが、板の縁を切断したままとせず、板切り縁から5~15㎜の部分を折り曲げます。その折り曲げることを「…には仇折りをつける」とか「…の上端は仇折りを行う」などのように用います。
仇折りの機能としては、次のような点が考えられます。
(1)板は通常切断したままであれば縁の部分に歪を生じて波を打ったようになる。この歪を消すために仇折りをつける。
(2)雨押さえの立上り部分(図の上のほうのような例)の上先端に、雨水がそれ以上昇らないように折り返る。
(3)取り付け作業時に、仇折りをつけることにより手などの負傷を防ぐ。

一文字葺き (いちもんじぶき)

平板を適当な大きさの長方形に切断し、その4辺にはぜを設けたもので葺く、屋根葺き構法の一種です。この屋根は、日頃よくみかけられるポピュラーなもので、住宅の庇や吹き下げの屋根、さらにはお寺や神社の屋根に多く葺かれています。
仕上がった外観は、板の継手がちょうど煉瓦の継手のように見えます。
一文字葺きは、関西方面では「あやめ葺き」とも呼ばれていますし、山梨県では「もんち葺き」ともいうそうです。それ以外にも地方によって違う呼び名があるかも知れません。
葺き方は、屋根の場合二つの方法があって、仕上がった外観は変わりがなく見分けがつきませんが、板の加工方法は大いに違います。
そのーつは「つかみ込み葺き」 といって、図のように加工された板を、先ず左右相互にはぜで接合した後、横はぜを作ります。従って、縦はぜと横はぜが交又する部分では板が8枚となります。

一方「爪切り葺き」は横上はぜが出来上がっていて、縦はぜとの交点は板の角が切りとられています。葺くときは左右いずれかの縦はぜに葺こうとする縦はぜをはめ込み、滑らせながら取り付けます。縦と横はぜの交又する部分の板は合計5枚となります。
さて、雨漏りに対してどちらが有効かということです。
つかみ込み葺きの場合は、縦上はぜが横はぜに巻き込まれていますので、仮に雨水がはぜの中に入っても、板の裏側に入り難く、最終的にははぜ内を経て外に流れ出ます。
しかし爪切り葺きの場合は、横下はぜと縦はぜの交点が切れているので、雨水はここから中に入りやすくなっています。
その結果、つかみ込み葺きは爪切り葺きよりも0.05 (5分勾配)緩勾配の屋根にも葺くことが可能となります。実際の屋根勾配でいいますとつかみ込み葺きは0.3 、爪切り葺きは0.35が、それぞれの最小勾配といわれています。
通常、亜鉛鉄板の場合は爪切り葺きで多く葺かれ、銅板の場合はつかみ込み葺きによることが多いようです。
これらの加工された板を葺き板といいますが、いずれも横下はぜに葺き板1枚当たり2個の吊り子で下地に釘止めされます。
ところで、壁の場合は図のように横下はぜの一部に鋏を入れて、吊り子とします。

馬乗り掛け (うまのりがけ)

一文字葺きのように野地面に平面的に葺かれる屋根の棟の納め方の一つ。図のように棟包みを屋根葺き板のはぜに直接掛けて納める方法を馬乗り掛けといいます。
棟の稜線を蔵に見立て、鞍をまたいで乗る様子からついた名称と思われます。

工キスパンション ジョイント

建物は温度の変化を受けて伸縮したり、地質や車輌などの振動のため、骨組みと屋根や壁などの仕上げ部材との間で、互いの位置関係が変わります。
例えば、大きな規模のL字形平面の屋根の隅谷部分は、1字2 辺の振動が違うので通常の谷仕舞いでは故障が多発することがあります。また鉄筋コンクリートの壁に接する鉄骨の下屋の屋根を葺くとき、接点となる雨押えに伸縮の機能を持たせないと、雨押えが切断されることがあります。さらに、軒樋の長いものを1本で設けると温度伸縮のため曲がったり、折れたりします。
このような2材相互の間の違った動きに支障なく追随するにはエキスパンション ジョイントが必要となります。
エキスパンション ジョイントはただ単にエキスパンションともいいます。
エキスパンション ジョイントはあらかじめ予想される2部材間の変位量(相対変位量といいます)、または1階と2階の壁のような場合に起こる2層の間の変位量(層間変位量といいます)を求め、それに対応出来る機能を持つ工法とします。もちろん、屋根や樋の場合は雨が漏れたり、風が吹き込んだりしてはいけないことは当然です。
板金工事のエキスパンション ジョイントは、薄い金属板を特殊な形に加工したものや、ゴム質や合成樹脂のシートや型材の弾力性を利用して施工します。
図は、鉄筋コンクリート造の屋上エキスパンション ジョイントと、硬質塩化ビニル製の軒樋のエキスパンション ジョイントの例です。いずれも2材間の変位量を吸収出来る機構になっています。

えぐりはぜ

正しい名称ではないようですが、銅板による一文字葺きで、掴み込みのはぜの一部を「えぐり箸(はさみ)」で丸く小さく欠いて葺く方法をいいます。
詳しくは、ある葺き板の真上に葺かれる葺き板の横・上はぜの中央部分をはぜ幅の約2/3をえぐって欠きます。この箇所の真下には、下側の葺き板の縦はぜがあります。この縦はぜは板が4枚となっていて、その部分だけ暑く浮き上がって膨れていますから、その上の横・上はぜが接触しやすくなります。このままですと、板の接触部分には毛細管現象のため雨漏りが生じやすくなります。
そこで、横・上はぜをえぐると板の接触部分の面積が少なくなり、そのため毛細管現象が発生しにくくなり、雨漏りが少なくなる、ということになります。
このような理由により、通常のえぐりなしの屋根の最小勾配は30/100といわれていますが、えぐりを行った屋根は最小勾配25/100というのが一般的な認識となっています。

尾垂 (おだれ)

尾垂とは元々軒先部分で垂木の先端を隠すために取り付けられる板を指した呼び名で鼻隠しとほぼ同じもののようです。
金属屋根材の場合は、かなり変わった尾垂となります。図のように屋根材の底先端部の15~20㎜の範囲を、角度15~30度程度に下側に曲げて尾垂とします。
尾垂を付けることによって雨水は屋根面から確実に排出することができます。もし尾垂がないと、雨水は屋根材の底裏面を伝わって室内にまで達することすらあります。
さらに、尾垂があると軒先部分の板の腐食に対しても非常に有効です。

鬼 (おに)

ここでいう鬼は、屋根の棟端部に用いる鬼面を形どった鬼瓦とする。
瓦屋根の場合は、字の通り鬼瓦というが、板金業界では単に「鬼」とか、鬼板などと呼んでいる。
しかし鬼といっても必ずしも鬼面をしたものとは限らない。我国最古の鬼瓦は鬼面ではないし、現在住宅に広く用いられている「須浜」または「州浜」と呼ばれる鬼瓦は鬼面ではない。
鬼瓦は機能的には、棟の端部を覆うものである。しかし単に覆うだけの機能にとどまらず、装飾的にも信仰や迷信など色々な意味を持っている。
日本に瓦を作る技術が伝来したのは紀元588年(崇峻元年)といわれ、既にその当時朝鮮半島(新羅)では鬼面瓦が作られていた。しかし、何故か日本には鬼瓦は渡来せず、紀元640年頃になって日本的な鬼瓦が出現したようである。
ただこの時期以前には木製や銅板製の鬼瓦があった可能性も残されている。
いずれにして、頭当の鬼瓦は鬼面ではなく、別の装飾が施されていた。

奈良時代に入って、鬼は神という考え方から、鬼瓦を建物や家族を守る守護神の象徴として設けるようになった。そのためには、強い神、即ち鬼であることが必要で睨みを効かし、角を生やした鬼面が作られるようになった。
しかし、江戸時代になってからは、あまり強相の鬼瓦は隣家を睨み据えるといって嫌われはじめ別の形状が出現するきっかけとなった。その結果、般若面、おかめ面、布袋、恵比須、大黒、天女、分銅、槌、宝珠など数多く種類の鬼瓦が作られている。
鬼瓦に神格化して棟に設けるには、それなりの理由が必要となる。その論拠は、中国から渡来した陰陽学によっている。古代の建物の場合、鬼瓦には雌雄があって、雌は陰、雄は陽を表わしている。したがって、その配置は、建物の東及び南の陽の側には陰の雌の鬼瓦を、西及び北の陰の方角には陽を表わす雄の鬼瓦を取りつけることになる。
なお我国で典型的な屋根である入母屋造りの屋根には、鬼瓦が次図のように18ヶとなる。

また本棟(大棟ともいう)の鬼は垂直に取り付けると仰向に傾いて見えるので垂直に対して5/100程度で上部を外側に傾けて設置する。
鬼瓦の大きさは、本棟の鬼瓦が基準となって各部分の鬼瓦は小さくなる。例えば、本棟鬼10、降棟鬼8、ニの鬼7、稚児、妻降鬼6などである。
板金工事で作る鬼瓦は、木材で型を作り、金属板(主に銅板)をその型に合せて叩き出したものを張り付けて作る。

折下げ唐草 (おりさげからくさ)

一文字葺きや瓦棒葺きなどの軒先やけらばの部分を納めるために用いる役物、つまり唐草の一種で、図のような形状をしています。
このうちAは通常、長尺瓦棒葺きによく用いられているものです。Bは銅板葺きの唐草に見られるものです。
通常の唐草と折下げ唐草を比較すると、軒先やけらばの風に対する耐力は後者が優れていて、風荷重の大きい屋根には適している納め方です。
また、軒先での雨水のカットについても後者が優れています。とりわけ緩勾配の屋根には非常に有効です。

【か】

海泡 (かいほう)

海岸に台風や強い季節風が吹き付けると、海水は波となって打ち寄せ、特に岩がゴブゴツしていると波は泡となります。通常の波はすぐに消えますが、海水中にプランクトンや海藻の破砕粒子が多量に含まれた場合は、泡が消えにくくなります。この海水は、表面張力が小さいので泡が立ちやすく、粘性が増すので泡が消えにくくなるからです。
通常の泡と消えにくい泡を比較すると、泡膜の厚さは約4倍、表面張力は25~3倍となっています。
波が次々と打ち寄せると、前に発生した泡が消えないうちに次の波が泡を作ります。やがて泡は成長して大きな塊となります。丁度洗剤の泡のようになります。
ここで泡に強い風が吹き付けると、泡は風に乗って空中を飛び運ばれていきます。
もちろん泡は海水と同じ成分ですから、鉄をはじめ金属の表面に付着すれば、錆の原因になるわけです。
冬の日本海沿岸によく見掛ける現象です。
亜鉛鉄板は海岸に近い場所の使用は、海岸からの題離でその可否を判断しますが、海泡の発生する地域では一般的な判断は通用しないようです。

隠し釘止め (かくしくぎどめ)

金属板を用いる屋根や壁、さらに役物類を取り付けるときには、板を釘止めする刷ることはごく一般的に行われています。しかし、釘頭が表面に露出することは基本的に歓迎されていません。特に銅板の場合はそれがはっきりしていて、釘はすべて見えない箇所で打ち付けることが常識です。
この見えない箇所に打ち付ける釘を隠し釘といい、隠し釘を打ち付けることを隠し釘止めと呼んでいます。
図は鼻隠し状の木板を含む役物を取り付けるときの釘の打ち方を示すものです。

鎹 (かすがい)

鎹は木造の建物でよく見掛ける接合用の金物です。コの字形をして、木材に打ち込みやすく両方の先端が尖っています。
ところが屋根の世界にもかすがいが使われています。一文字葺きの屋根を葺くとき葺き板を縦はぜで継ぎますが、そのまま何枚も継ぐと板の温度伸縮のために一部の葺き板がむくり上がったり、縦はぜが外れたりすることがあります。葺き板は1枚ずつになっていますが、縦と横のはぜが組み合っているため、1枚板とほぼ同じ状態になるからです。
そこで図のようにかすがいを入れます。かすがいは「かすがい板」というのが正しいでしょう。通常かすがい板は、5~6m間隔に設けられています。
かすがい板は縦はぜの方向を変える場合にも用いられます。

刀刃 (かたなば)

板金工具の一種で、はぜや仇折りを作るときに用います。
刀刃は帯鋼状の硬鋼板で作られたもので、図イのような形状をしています。長さは600㎜、幅70㎜、厚さは3㎜程度です。その2面は刃状に削って鋭角になっています。
はぜを作る場合は、図ロのように曲折機で70~80°程度に折り曲げておき、さらに鋭角に折り曲げるとき、図のような位置に刀刃を差し込み、板を拍子木などで叩いて正常な角度に折り曲げます。
一文字葺きの場合のはぜ締めは、刀刃を使って締める。したがって一文字葺きのはぜの水平面となす角度は、刀刃の刃の角度になります。ちなみに一文字葺きのはぜが密着すると雨漏りすることになります。

金切鋏 (かねきりはさみ)

金属板の切断に用いる鋏です。別に「金切箸」とか「切箸」などとも呼び、板金作業でもっとも使用頻度の高い道具の一つです。
金切鋏の種類は使用目的によって直刃、反刃、刳刃の3種類があります。
直刃は俗称で「まとも」といい、真直ぐな線上を切断するときに使います。反刃は別名、柳刃、または単に「やなぎ」といいます。湾曲線や曲線上の切断用です。
刳刃は「えぐりば」と読み、ドリルやポンチなどの開孔よりもっと大きい径の孔を開けるときに使います。
これらの金切鋏は、切断する板の厚さが薄い薄物用と厚さが厚い板の厚物用とがあります。そのほかに、波板用やダクト用などの特殊な金切鋏があります。

唐草 (からくさ)

唐草は本来の意味は、植物の茎や蔓などを模様化したもので、漢時代の中国から渡来したようでこの名称がある。茎と蔓だけの模様や、草の葉や花実なども付けたものもあって蓮唐草とか牡丹唐草など多くの種類がある。
日本では古くから軒先にふく軒瓦の先端に唐草模様を付けることが多かった。
ところで板金の世界で唐草というのは、屋根の軒先やけらばの先端部分に水仕舞を兼ねた納め用部材を呼んでいる。形状は図のようなものがある。

これらのうち左上の唐草は長尺の瓦棒ぶきや立平ぶきなどに主に用いられるもので、捨板と唐草は一体となっている実用本位のものである。その他の唐草は、軒先の外観を重視した唐草で主に雨水によって腐食の心配のない鋼板の一文字ぶきに用いられる唐草である。
唐草は、唐小舞の先端かけらばの淀の先端に捨板を介して、または直接くぎ止めして取り付けられる。屋根板の先端は、唐草の先端部分に引っ掛けて納まることになる。

唐破風 (からはふ)

破風の形式のーつで、軒先部分の中央が上方に円く起り上がった形のものをいう。
この型式の軒は鎌倉時代に最初に出現した構法で、外国にはあまり見られないものである。
初期の唐破風は中央の成があまり高くないが、時代を経るに従って高くなっている。

図で獅子口というのは、一種の鬼瓦であって、この瓦だけは鬼と呼ばない。 獅子口の後には棟が付く。また当然谷も必要となり、加えて屋根勾配が非常に緩かになるので、金属板葺きでも瓦葺きの場合でも雨漏が発生しやすい。仕上がりの出来栄えと共に最も施工のむづかしい部分である。金属板葺きでも瓦葺きでも、屋根材の下には捨板を入れ、雨漏りを防いでいる。

切妻 (きりづま)

切妻屋根は、図のように棟を中心として両側に雨水を流すよう作られた屋根の形式をいいます。
切妻の屋根は、屋根の原形とも考えられているもので、上代の切妻形住居のことを真屋(マヤ)とか両下(リョウカまたはリョウサゲ)と呼ばれていました。なお、この屋根は主に高床式の住居に用いられていたそうです。
ただし昔は単に切妻とはいわず、切妻造りというように使っていました。今我々がいう切妻とは少し意味が違うと思います。
ちなみに「妻」とは物の端を意味し、屋根を単純に大胆にスパッと切った形と通じているように思えます。
ついでですが、妻側に出入口があるものを「妻入り」といい、桁側に出入□ があるものを「平入り」 と呼びます。

【さ】

蛇腹 (じゃばら)

建築でいう蛇腹は天井と壁の接点部分などに用いられ、連続的に繰り形を付けた装飾的なものです。板金工事では、角型の軒どいに蛇腹をつけることがあります。
軒どいは、角どいになると、といの前面高さが大きくなり、平坦に見えて軒先の外観を損なう感じがします。そこでこの前面の部分に装飾的な繰り形つけて軒先の外観を整えることを行います。これを蛇腹付き軒どいと呼びます。あんこうやますにも蛇腹上の繰り形をつけることが多い。

すがもれ

寒い地方の建物で、冬になると室内の暖気や昼間の太陽熱のため屋根上の雪が融けて水となり、軒先に向かって流れます。このとき軒先が外壁より突出していて、屋根面が外気温によって冷えていると、融けた水は軒先で凍ります。その結果、つららや氷提ができます。この氷提のため、あとから流れてきた水はプール状となり、屋根面の少しの欠陥部分からでも室内に侵入します。この現象を「すがもれ」といいます。なお「すがもり」ということもあります。
すがもれは、ちょうど外壁から室内で起こり、床と壁がひどく水漏れします。図はすがもれの状態を表しています。

すがもれを防ぐには次のような対策が必要です。
① 天井面の断熱や屋根面の断熱を十分にする。
② 軒先の屋根勾配を急にし、溜る水量を少なくする。
③ 軒天井を設けて室内暖気を軒先に導入し、屋根面を暖め氷提が出来ないようにする。
④ 軒先で氷提が出来る部分をヒーターで暖める。

などが行われています。もちろん、屋根面の防水性が完全であれば、すがもれが発生しても水漏れは起こりませんから、実害面からはすがもれとなりません。
このほか、棟の位置に屋上換気扇があって暖かい空気が排出され、そのため換気扇周囲の雪が融けた場合も、軒先のすがもれ同様の結果となることがあります。

墨 (すみ)

我国には、伝統的な建築工法として「規矩術(きくじゅつ)」があります。これは、立体幾何学を応用した作図法です。墨はその中に使われている用語でした。しかし現在では、規矩術から離れて日常使われている言葉となりました。
建築工事の現場内では、あらゆる職種で墨を必要とし、もし墨が無ければ工事が不可能となるでしょう。
さて、墨とは建設中の建物の至るところで記されているマークのことで、例えば屋根の場合屋根部材の取り付けに先き立って下地に働き寸法をマーキングします。一文字葺の場合でも馳位置を下地にマーキングします。これを「墨出し」とか「墨打ち」といいます。この作業の主役は、墨壷と墨指で、図のような形をしたものです。

墨壷は、相当長い距離に線を引く道具で、墨指はマーキングつまり墨を付けたり文字や記号を記すめの道具です。
墨出しされた墨は、あらゆる部材の取り付けや組み立ての位置を表わす重要なものです。
墨には、付け方によって次のような種類があります。 「心墨」は、部材の中心や通り心を表わす墨で、「逃げ墨」は、墨をしようにも付ける相手が無い場合や、後日墨が消えると困る場合などの時に用います。

隅勾配の伸び率 (すみこうばいののびりつ)

隅勾配の伸び率は平勾配の伸び率よりもやや複雑になります。隅勾配は図のl2の部分の勾配をいいます。従って隅勾配θは
θ= H /l1で表わされます。また、隅勾配の伸び率βは
β=l2/l1となります。
ところで、図のようにL1が桁方向と妻方向が同じ場合のl1
l1= L1×√2の関係となります。
表に平勾配に対する隅勾配と隅勾配の伸び率を掲げます。

【た】

タイトフレーム

タイトフレームは折板と、折板を支える梁や母屋を接合するための金具の一種で、折板に加わる色々な荷重(自重、風、雪その他の荷重)を梁や母屋に伝える重要な機能を持つ部材です。
通常タイトフレームは、幅30~50mm 、厚さ2.3~4.5mm の帯鋼または、亜鉛鉄板を先の幅にシャーしたもので作られます。形状は、およそ富士山形をしていて、図のように1山ないし3山の連続したものとなっています。
部材にはリブを付け、強度をより大きくするための工夫がされています。

また、折板を止めつけるための固定ボルトをあらかじめタイトフレームに取り付け、施工の簡素化を計ったものもあります。この時の固定ボルトは径8~10mm 程度で、その先端はやや尖らしてあり、折板の孔明け作業を容易にしています。
タイトフレームの形状寸法は、折板の形状寸法に見合ったものが必要で、その結果現在は多くの種類が作られ、販売されています。

たたみ馳 (たたみはぜ)

たたみはぜは、図のように折り曲げ加工した役物部材をいいます。
この名称以外に「稲妻折り」、「ダブルはぜ」とか「二重はぜ」などの呼び方があります。たたみはぜは、隅谷や心木あり瓦棒葺き、とりわけ銅板で葺くときの溝板のエキスパンションを兼ねた継手に使われます。

竪樋 (たてどい)

屋根の雨水排水用の樋で、軒樋と並んで樋の構成上最も重要なものである。 竪樋は軒樋で集めた雨水を直下階の屋根または地上に導く機能がある。
種類は大別してその断面が円形のものを丸竪樋といい、四角形断面のも のを角竪樋としている。また筒にせず鎖を用いることもあるが、これも竪樋の一種である。
竪樋は鉄板や銅板などの金属板か硬質塩化ビニル樹脂で作られている。丸か角かの使い分けは、建物のデゲィンに準ずるので、可否の差はない。
断面の大きさは、排水する雨量もしくは軒樋の大きさによって決められる。とりわけ、最近の竪樋の大部分は既成品であるが、この場合は軒樋によって自動的に決められるようセット化されている。
竪樋の項部は、呼び樋、集水器もしくは軒樋が接続する。下部は排水溝や排水の会所に導かれる。
竪樋を設ける場合は、あまり折れ曲がらぬようにすることが大切で多くの箇所を曲げると、それだけ竪樋の排水能力を低下させる。
また取り付け通常「デンデン 」と称する竪樋用取付金物で取り付けるが、塩ビ製の場合はよいが、金属板製の場合には、樋の下がり止めを付けることが大切である。
なお寒冷地では、竪樋内の雨水が凍結し、そのため竪樋が破裂することがあるので、そのような場合は竪樋を室内か、壁体内に設けるなどの方策を講ずる必要がある。

谷樋 (たにどい)

2面の屋根の聞に設けられる樋で、両屋根の雨水を集めて竪樋に導く機能を持っている。しかし、谷どいも細かく分けて見ると3種類程度になると思われる。

(ⅰ)大型の非住宅の屋根が連続している場合の間に設ける谷どい。最も大型の谷どいとなり通常谷樋といえばこのケースをイメージすることが多い。

(ⅱ)通称「隅谷」といわれる谷どいで、原則的には屋板ふき材と同一面に設ける。従ってあまり大型の屋根の場合や,多雪地域では排水能力に限りがあるので、このような場合は(ⅰ)のような工法を考えることが必要となる。
なお、瓦業界では隅谷は、屋根が外壁と接する部分に隠していわゆる捨谷を設けるが、その捨谷のことを隅谷と称することがある。

(ⅲ)厳密には谷樋ではなく、むしろ軒樋であろうが、大型の建物で軒樋を建物内に設けるととがある。この場合の樋の工法は、(ⅰ)の谷樋と同様となる。

図に(ⅰ)~ (ⅲ)の谷どいの例を掲げる。

(ⅰ)の場合は、谷樋の底幅が非常に大きく300mmから1,000mmを超えるものまである。谷樋の材料は塩ビ鋼板やステンレス鋼板など用いられるが、やはり耐酸被覆鋼板が最も多い。

(ⅱ)の谷樋は、通常屋根材と同じ板を用いる。
ただし板厚は屋根材より1ランク上位のものを用いることが通例となっている。

(ⅲ)の図は多雪地域の例を示しているが、工法的には(ⅰ)と大差ない。
谷樋は屋根よりも塵芥や雨水が溜りやすいので、何よりもその耐久、耐食性が求められる。

また工法的には長い板で作ることが多いので、鋼板の場合1本の長さは10m以下程度とし、温度伸縮を確実に吸収できるエキスパンションを設ける。

【な】

生子、海鼠 〔なまこ〕

生子と海鼠は字は違いますが、どちらも[なまこ]と読みます。
建築の場合生子といえば、本来は亜鉛鉄板や石綿スレートの波形をした板のことを総称していたようですが、現在では生子は波形亜鉛鉄板だけの別称となっています。
ご存知の通り生子もしくは生子板で葺いた屋根を生子葺屋根といい、壁の場合は生子貼壁と呼んでいます。
一方、瓦を使った壁にも生子壁があります。
現在ではほとんど利用されない構法ですが、土蔵造りや大事な建物の外壁に平らな瓦を貼り、その目地を蒲鉾状に盛り上げて漆喰固めする方法です。
構造は図のようになっていて、防水性や耐火性に優れています。

軒反り 〔のきぞり〕

軒反りは,下図のような入母屋造りの屋根や方形・寄棟の屋根の四隅の部分を上方に反り上げることをいい、社寺建築にはよく見られる構造である。
中国では、人々が天国に少しでも近くとの願望から軒反りを大きく造り、屋根全体の姿を丁度鳥が翔く形に似せたともいわれる。我国では中国から伝えられた建築様式の影響で軒反りも古くから用いられている。

軒反りをつけると、屋根が軽快に観え、視覚的にも先端が下がって見えない特長がある。また、軒でもこの隅の部分が最も下がりやすいのであらかじめ上げておくという構造上の意味もある。
我国の軒返りは、中国や朝鮮半島のそれより、はるかに緩やかに付けている。飛鳥時代から奈良、平安時代までは「真反り」(しんぞり)といって軒の中央から少しずつ反り上がっている。鎌倉時代からは、軒の端から少し入ったところから急に反り上がる「長刀反り」 (なぎなたぞり)が用いられている。
さらに桃山、 江戸時代に入ると、軒中央は直線で両端だけが長刀反りのように反り上がった形となっている。ただし、屋根の葺材によっても軒反りの大小は差があるようで、概して瓦屋根は小さく、檜皮葺や柿板葺が大きいようである。しかし、伊勢神宮や出雲大社などの本殿には軒反りはない。

軒返りの曲線は、軒を構成する茅負(かやおい)でつける。参考に曲線の割り出し例を下図に示す。図はスペースの関係で横をやや縮めて描いている。

軒樋 〔のきどい〕

軒樋は屋根の軒先に連続して設け、屋根の雨水を受けて竪樋まで導く機能を持つ樋である。
軒樋は形状を分類すると丸軒樋と角軒樋があり、建物の意匠に合せて使い分けている。しかし両者共排水機能からの差はない。
材料は各種の鋼板、銅板などの金属板と硬質塩化ビニルである。ただある特殊な場所には板厚の厚い鋼板を用いることがある。
軒樋は、現在では中型程度の建物まではほとんど既成品が用いられ、特別な設計仕様以外のケースを除いて対応がとれている。
丸軒樋は機能本位であるが、角軒樋は意匠性に富んだものが多い。例えば樋の最も目立つ前面に蛇腹を付ける例は非常に多い。
また丸軒樋では、自然竹の形状を模して作られたものもある。
さらに外側を角として、その中に丸樋を仕組んだ2重軒樋がある。この場合には、樋受金物も外から見えないよう樋の中に入れる。
軒樋は、所要の勾配を付けて受金物を600mm~900mmに配置した上にセットする。勾配は1/50 程度で、金物の方法もしくは取付位置で決める。しかし、本来は丸軒樋はこのような勾配をつけるが、角軒樋は勾配を付けないことが多かった。理由は、角軒樋の場合勾配を付けると屋根の軒先の水平線と平行しないため、外観を損うからである。前述の2重軒樋は、外側の角樋は水平とし、中の丸軒樋で勾配を付ける。
竪樋との接合は、あんこうや集水器で行なう。
軒樋も谷樋同様に温度伸縮による弊害を防ぐためエキスパンンョン機能を持たせて取り付ける。とりわけ塩ビ製の軒樋では伸縮を十分に配慮する必要がある。
なお軒樋を取り付ける軒先は、屋根の積雪も雨水と同様に軒樋に入って来る。しかし雪の場合は軒が処理出来ず、雪の重量や落雪時の衝撃のため、軒樋が破損する。従って北海道などの地域では軒樋を付けない習潰がある。

【は】

這樋 (はいどい)

這樋は2階建以上の建物で図のように上層階の竪樋が下層階の屋根の上に位置し、その雨水を下層階の竪樋(正確にはあんこうまたは集水器)に導く機能を持った樋である。従って這樋の設けられる位置は、下層階の屋根上となる。這樋は通常方形の断面をしていて、その上は蓋が付かず、所々に変形を防ぐつなぎ板を付ける。

この理由は、這樋を完全に塞いだ方形(角竪樋のような)にすると、竪樋からの雨水は流水方向が変わり、図(イ)部分で雨水が溢出するおそれがあるからである。その意味では、小型の住宅程度の這樋に丸竪樋をそのまま利用していることが多いが、雨水排水の面からみると決して好ましくない。もし一時的な豪雨があるような場合は、図(ロ)の部分で水が溢れるおそれがある。なお這樋は前述のように上面を開放しているので鳥や虫類が中に巣作りをすることもある。そこで丁寧な仕事では雀除けといってロストル状のものを用いて塞ぐことを行っている。

馳 (はぜ)

はぜは、2枚の金属板の端を折り曲げ、引っ掛け合わせて継ぐ場合の折り曲げた部分の名称です。または「小はぜ」ともいいます。
はぜを利用して2枚の板を継ぐことを「はぜ継ぎ」、「小はぜ掛け」ともいいます。
はぜの漢字は「鉤」が正しいようで、「馳」は最近用いられるようになったようですが、どうも根拠はないようです。
はぜは通常、板厚0.5㎜以下の鉄板や銅板で継ぎ合わせる場合に利用されます。しかし、ダクトなどでは板厚1.0㎜以上の鉄板を用いるので、はぜの組み方が変わっていて、いわゆる「ダクトはぜ」と称されるはぜ組となっています。
現在の薄い金属板のはぜには、どうもあまり古い歴史はないようです。少なくとも今のような薄い金属板がわが国に出現したのは明治維新以降であろう。それまでは手で叩いて板を延ばしていたので、0.3㎜や0.4㎜の均一な厚さは得られなかったはずです。したがって一文字葺きのはぜのような繊細なはぜ組は不可能と考えざるを得ません。
明治から大正期にかけて石油や煉瓦などを輸入した際、その梱包に「ブリキ板」を用い、その継手が「はぜ掛け」されていました。これを見て現在の「はぜ掛け」が完成したとも聞いたことがあります。
図ははぜの組み方による種類を掲げたものです。このうちa~fは薄い板による屋根、壁などに用いられ、g~kは、ダクトはぜと称し、板厚0.8㎜以上に用いられるものです。

破風 (はふ)

破風は昔は、切妻屋根の頂部の端、つまり棟木の端から軒先まで屋根の流れに沿って棟木、母屋や軒桁の切□を隠すように取り付けた厚い板のことを称していました。しかし、現在では単に板でなく切妻の壁部分全体を破風と呼んでいます。
また破風は博風とも書いた時代があったようです。さらに呼び方が地方によって異なり「はほ」「はっぽう」「はっぽ」などがあります。
破風の種類は結構多く、反り破風(照り破風ともいう)。起り破風、入母屋破風、切り破風、千鳥破風(据え破風ともいう)。槌破風、流れ破風などがあります。
破風板が頂部で左右合わされる部分を「拝み」といい、下端部分を「破風尻」、中程を「破風腰」と呼びます。


その昔、封建時代のある地方では、一般庶民の家屋には破風の使用を禁じたこともあったようです。このときには、たる木がそのまま露出することになり、この方法を「たる大形」といいます。

蛤 (はまぐり)

蛤はよく御存じの美味い貝ですが、屋根の世界では一文字葺きの屋根で蛤を使います。
入母屋造りや寄棟造りの屋根の隅棟部分で、左右の横馳を連続させて葺く方法を「まわし葺き」といいますが、この箇所に蛤を用います。図のように形が蛤に似ていることから、この呼び方となったと思われます。

蛤は一文字葺きの優美な線を、さらに隅棟や隅谷部分で曲線で結び一層奇麗に仕上げます。
ところで蛤は、隅棟には多く葺かれますが隅谷にはあまり使われず、むしろ網代葺きが用いられます。理由は谷に葺く場合は、縦馳が流水に逆らうことになり雨漏りしやすいからです。
どうしても蛤葺きとする場合は、蛤の幅を広くし谷を流れる雨水から外れた位置で縦馳が来るようにします。
棟も谷も下地は稜線部分に角を付けず、丸味を持たせます。

番手 (ばんて)

今でこそ鋼板の厚さは「㎜」ですが、以前は「番手」で表されていました。昭和42年のJIS改訂により番手表示が廃止され、以降㎜表示となって、関係者に定着しています。
しかし、年配の方の中には、いぜん番手を使う方がときどき見かけられます。参考までに、旧番手と現板厚を表にまとめてみました。

【ま】

枡 (ます)

竪樋の頂部に取り付けられた方形か長方形の箱状の部材を「枡」といいます。また「桝」の字を当てることもあります。使用する位置関係から見ると、軒樋と竪樋の接点で、雨水の流れが変わる箇所で一種のバッファーの機能と、樋内部の掃除を容易にする機能もあります。
また、呼樋と竪樋の接点部に設けて、雨水の流れ方向と水量を調整する枡があります。特に2本の呼樋が集まる場合の枡のことを「寄枡」といい、なくてはならない枡です。なお、装飾的に作られたものを「飾り枡」といいます。

箕甲 (みのこ)

社寺建築や数奇屋建築の屋根に見られるけらば部分の特殊な納め方となっている部分を箕甲といいます。または簑甲とも書きます。
箕甲は図1のように、屋根面と破風板に高低差が生ずる部分を指している。ところが屋根地と破風板上端の垂れ(通常このような曲線は、棟と軒先に糸を張り、その糸を下方に垂れ下げて曲線の各位置を出す)寸法は流れ中央部で大きく、軒先と棟部でもっとも小さくなります。
箕甲の曲線は独特な美しさを持つもので一文字葺きでも美しく仕上がるし、その他檜皮葺きや?葺きでも綺麗な線が得られます。
一文字葺きで箕甲を葺くと図2のように葺き上がります。箕甲の上部の葺き板は、鬼の中心を芯として円弧状にはぜを仕上るのが正しい。

文様 (もんよう)

屋根工事やその他の板金工事、例えば戸袋の扉やカウンターの腰壁などの壁張りに用いられるパターンは、近世日本の文様や外来の文様から得たものがあります。図にいくつかのパターンを示します。(1)~(3)は装飾的な壁面に用いられますが、(2)は一文字葺きの隅谷にも利用されています。
(5)は天然スレート葺きに見られる文様で、金属板では利用されていません。(6)の菱は、菱葺きとして鉄板でも利用される文様ですが、菱葺きの場合は、図のようにはぜ組の関係で線が少しずつずれてきます。

【や】

屋根勾配伸び率 (やねこうばいのびりつ)

屋根には勾配があって、雨水が流れやすいようになっています。ここで通常の勾配を平勾配、隅棟や隅谷の勾配を隅勾配として区別しています。
屋根は棟から軒先までの水平距離よりも、同じ棟から軒先までの屋根面の距離の方が長くなります。屋根の伸び率はαは、α=L2/L1となります。
屋根の伸び率αは屋根勾配によって異なります。表に各勾配に対する伸び率を示します。

【ら】

【わ】

割付け (わりつけ)

屋根を葺く場合、事前に一つの屋根材の働き長さ、働き幅の寸法を基準として屋根前面に位置を印します。この作業を割付けといい、位置を印すことを墨出しといいます。
割付けを正確に行うことは非常に大切なことで、この段階で軒先、けらば、棟などの納め方をはじめ、換気扇や天窓などの各部材と屋根部材との位置関係が寸法的に明確になり、実際の納め方がわかります。