銅屋根クロニクル

No.42

国内で唯一現存する府県会議事堂の遺構
新潟県政記念館(新潟県)

(1/1) ルーフネット 森田喜晴

新潟県政記念館は、明治16年(1883)に新潟県会議事堂として建設され、昭和7年(1932)に新設の県庁舎内に議場が移されるまで、県政審議の場として役割を果たした。その後、昭和22年(1947)に地方自治法が改正され、昭和44年(1969)に重要文化財「新潟県議会旧議事堂」に指定された。大規模解体修復工事を経たのち、昭和50年(1975)から「新潟県政記念館」として無料で一般公開されている。
昭和44年(1969)3月、我が国の府県会開設期における現存唯一の府県会議事堂の遺構として価値が高いと評価され、国の重要文化財として指定を受けた。

京都議事堂

議事堂は、木造2階建、漆喰壁、中央に塔屋をのせた左右対称の堂々たる建物で、中には議場を始め、知事室、議長室、委員室など14の部屋がある。

漆喰塗り外壁の建物には、角を縁取る隅石(すみいし)、正面の玄関車寄せとバルコニー、 歯形飾りのある軒蛇腹、両翼の棟の擬宝珠(ぎぼし)形の棟飾り、風見をもつ銅板葺きの八角塔屋などがひときわ目を引く。

新潟県政記念館(新潟県)

正面

背面

八角塔屋の手前は暖炉用の煉瓦煙突。周辺は銅板で納められている。

八角塔屋の手前は暖炉用の煉瓦煙突。周辺は銅板で納められている。

妻錺の真下から見上げる。

透かし彫りの大破風と下向き擬宝珠型妻錺 。

軒蛇腹

しっかりした樋が据えられている。

正面玄関

これまでに紹介した、檜皮や杮葺きの屋根を銅の棟や樋が縁取り、スレートと花崗岩の西洋建築の輪郭を銅の樋や錺金物が引き締めていたように、ここでも、樋と避雷針を兼ねる擬宝珠と対象の懸魚にあたる位置でバランスをとる銅金物の存在はきわめて重要だ。

伝統建築と西洋建築を織り交ぜた典型的な擬洋風建築で、文明開化期の高揚感が感じられる。

県会議事堂新設を訴えたのは県令(現在の県知事)永山盛輝である。1882年(明治15年)5月建設に着手、翌年3月に完成。議事堂庁舎を設計したのは当時の大阪駅などを手掛けた新潟県西蒲原郡出身の大工棟梁・星野総四郎。

建設には3万7千円の巨費をかけ、本県出身の新進建築家星野総四郎を起用し設計・監督に当たらせた。建設場所は、火災の心配がなく、新鮮な空気に富んだ信濃川に臨む河畔の白山公園隣接地を選び、完成した建物は見事な洋風建築で、当時の人々は目を見張ったという。

【所 在 地】 新潟市中央区一番堀通町3 番地3
【電話番号】 025-228-3607
【開館時間】 午前9時から午後4時30分
【休館日】毎週月曜日、祝日
  新潟駅バスターミナルから
  市内バス「白山公園前」下車 徒歩1分

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