銅屋根クロニクル

No.74

街中パワフル神社の不思議な縦並び社殿
住吉大社(大阪)

(1/1) ルーフネット 森田喜晴

「海の神」として信仰される住吉明神。正しくは、底筒男命・中筒男命・表筒男命といい、 イザナギノミコトのミソギハラエの際、海から現れた神で、神功皇后摂政11年(西暦211年)、大和政権の玄関口にあたるこの地、難波(なにわ)に鎮座したと伝えられる。 遣唐使をはじめ大陸との渡航を守り、奈良時代以前より外交・貿易、またあらゆる産業を守 護する神として称えられてきた。

摂津国一之宮、全国約2300社余の住吉神社の総本社、旧官幣大社。4つの本殿は、いずれも神社建築としては最も古い「住吉造り」の国宝。屋根は檜皮葺きで、棟箱と千木,鰹木、樋は銅板で包まれる。
大阪人にとって、「初詣といえばすみよっさん」。三ヶ日の参詣者数は、全国有数の毎年二百万人を超える。

住吉大神と神功皇后を祀る四本宮は、第一・第二・第三本宮が縦直列、第三・第四本宮が横並列という、まるで船団のように独特の配列を取り、古代の祭祀形態をよく伝える貴重な存在とされる。海に向かって並ぶ、この社殿の並びをオリオン座の配置と同じである、とか、各地の住吉神社が、大阪から対馬までの航路、すなわち大陸への航路と一致するとして、航海の神としての住吉神社の力の源を探る人たちも多い。

住吉大社

住吉大社

社のHPでも、本殿は妻入りとあるのだが、写真を見る限り、どう見ても平入りだ。その訳は、模型を見ればよく分かる。妻入りの本殿の前に小さな鳥居がある。つまり、それぞれの本殿の前に後から切妻の拝殿が造られ、その拝殿が唐破風の向拝を持つ切妻の平入というわけだ。

社のHPでも、本殿は妻入りとあるのだが、写真を見る限り、どう見ても平入りだ。

住吉大社第一本宮の50分の一模型。

古代出雲歴史博物館に展示されていた、住吉大社第一本宮の50分の一模型。解説には「正面2間×側面4間、切妻造り妻入り、檜皮葺き。第一から第四本宮の本殿四島が縦に並んでいる。 殿内は前後二室に分かれている。伊勢神宮と同様に直線的な屋根形態を持ち細部も簡素な造りだが、柱、壁ともに彩色されている…。」

四角柱が特徴の住吉鳥居

四角柱が特徴の住吉鳥居

初詣で賑わう、住吉大社前駅

初詣で賑わう、住吉大社前駅

住吉大神と神功皇后を祀る四本宮は、第一・第二・第三本宮が縦直列、第三・第四本宮が横 並列

 「住吉造」と称される本殿

反橋そりはし(通称太鼓橋たいこばし)。路面電車の駅前の鳥居をくぐれば太鼓橋。長さ約20m、高さ約3.6m、幅約5.5mで、最大傾斜は約48度になる。この橋を渡るだけで「おはらい」になるとされ、本殿へのメインルートだ。現在の石造橋脚は慶長年間に淀君が豊臣秀頼公の成長祈願の為に奉納したと伝えられている。

社務所、祈祷所、楼門、手水舎など、銅板屋根はあるものの、国宝本殿での銅仕事は棟飾りと樋である。

「住吉造」と称される本殿は、神社建築史上最古の様式の一つで四本宮すべての本殿が国宝 に指定されている。室内は外陣(げじん)と内陣(ないじん)の二間に分かれ、柱は丹塗(にぬり)、 壁は胡粉塗(ごふんぬり)になっている。住吉造の平面構造は、大嘗祭(だいじょうさい)で造営される「大嘗宮」という神殿と類似した構造をしていることも特徴として指摘される。現存の本殿は、江戸時代の文化7年(1810)に造営されたもの。
社務所、祈祷所、楼門、手水舎など、銅板屋根はあるものの、国宝本殿での銅仕事は棟飾りと樋である。

アクセス:
南海電車「住吉大社駅」・「住吉東駅」徒歩3分。
阪堺線(路面電車)「住吉鳥居前駅」すぐ。

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