あの屋根!この屋根!

祇園祭大船鉾の銅板屋根

(2/3) ルーフネット 森田喜晴

京都市無形文化遺産展示室がオープン

一昨年から京都駅前のヨドバシビルの1階に京都市無形文化遺産展示室がオープンし、祇園祭に関する資料展示が、大船鉾の屋形とともに展示されている。屋形は桧製で、会場では上下全方位から見られるため、屋根の銅板葺もしっかり観察することが可能だ。この展示は、鉾町である四条町大船鉾保存会には解体した鉾を保管する町家がなく、ヨドバシカメラが保管を兼ねて常設展示することにしたそうだ。

京都市無形文化遺産展示室で展示されている大船鉾の屋形。

漆塗りや装飾は今後の課題。

大工が作ったパーツに銅板を貼ってゆく。0.3ミリの一文字葺き(写真提供:田原板金製作所)。

差し込み式の破風も2分割。

銅板を貼る前に防水のために、改質アスファルトルーフィングを 下張りする。

京都府板の理事長も務める田原板金製作所の田原社長。本体の製作を担当する竹田工務店の竹田社長と、16分割される屋根の接合部と雨仕舞について、屋根の接合部を被せ物なしで納める方法など、入念に検討した。

大船鉾保存会による調査

大船鉾復活までには150年間の歴史が有るのだが、今回は大船鉾の屋根に関するごく最近の発見を保存会の記録から一部紹介しよう。

公益財団法人四条町大船鉾保存会の事務局を預かるのが、四条町で「新しいきもの屋」・のぶ真㈱木村商店の木村宣介さん(左)。保存会で業務執行理事を務めている。真中は「祇園祭命いのち」の幹事・鈴木辰規さん。右は宣介さんの父で社長の木村忠夫さん。本稿の鉾の写真や資料は「大船鉾保存会」から頂いた。

祇園祭大船鉾友の会会報「凱旋」。大船鉾は凱旋船鉾とも呼ばれる。

鉾を塩で清めるのが神事係である木村さん(左)の役目。道の狭さ、鉾の大きさがわかる。

…先日、船鉾保存会のご好意とご協力により、京都市、四条町中立会いのもと、設計者と施工者による船鉾屋根の調査が行なわれました。その結果、船鉾の屋根は銅板で葺かれ、赤茶色の塗料で塗られていることが分かりました。四条町の大船鉾は文化11年の「増補祇園御霊会細記」に「屋根二重屋根唐破風銅瓦」とあり、銅板で葺かれていたとの記述ですが、他の鉾は木造うるみ漆塗り で作られているため、大船鉾も同様であり「増補」の記述はうるみ漆の色を銅とみなしたのであろうと考えていました。

船鉾も同様だと考えていたのですが、間近に実見することによりまさに銅板葺であったのです!これにより、大船鉾も記述どおり、銅板葺である可能性が高くなりました。
(大船鉾考証 屋根の意匠②2012年5月22日)

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