あの屋根!この屋根!

軽井沢千住博美術館

(2/2) 「施工と管理」広報委員会

真上から見ると一直線になる

「この写真を見て、多分不思議だろうと思うのが、増築部分です。(表紙写真の上部の高くなっているところ)。写真では平な屋根の部分のラインと増築部分のハゼのラインがそろっていないように見えます。平らな屋根に別のものを載せたように見えます。ところがこれを、真上から見ると一直線になるのです。この設計者のこだわりには驚きました。

ここでもCADで3D投影して、シミュレーションを繰り返し、現場実測、CAD修正します。板材の働き幅が1枚1枚違うだけでなく、1枚の中でも幅が変わってくる。台形になっていて、左右非対称の場合すらあります。増築部部分の屋根勾配が大きいため、その変わり方は、さらに大きかったのです。現場では真上から見ることはできませんから、真っ直ぐになっているかどうかも、確認しずらいのです」。

既設の屋根に、約1メート被った形で増築部分が載る。

ゴルフ場の池のようだ。端末のラインが室内側からよくみえるので、おさまりを工夫した上で、つかみを2重にした。うねった屋根の作業でもあり、職人たちの手加工の手間は、通常の3倍はかかっている。

屋根のはぜのラインと増築部分の傾斜した立ち上がり部分の接合部が一直線になっている。

立っているはぜをつまんで溶接して折り曲げる。
毎分3mの自動溶接機。

薄く、うねる屋根。

こうして3次元CADを駆使した割り付けの正確さと職人の緻密な作業で、呼吸する、生き物のような屋根が実現した。

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