銅屋根クロニクル

No.1

すべての瓦を下ろした正倉院正倉

(1/5) ルーフネット 森田喜晴

すべての瓦を下ろした正倉院正倉

修理で屋根瓦が下ろされた正倉院正倉(撮影:筆者2012.9.23)

今回から「銅屋根クロニクル」として、銅板や銅屋根をめぐる話題を掲載していきます。
第1回目は奈良の正倉院です。銅板とは関係がないようですが…。

5回の修理見学会を予定

宮内庁正倉院事務所(奈良市)は2012年9月21日、約100年ぶりの修理で約3万6千枚の屋根瓦すべてが下ろされた国宝・正倉院正倉を初めて公開、9月23日までの3日間で希望者の中から抽選で選ばれた約4,200人が見学しました。現場の公開は、修理作業が本格化する直前の2012年3月に実施して以来2回目。工事が完了する 2014年11月までの間に合計5回の公開を予定しています。

今回の現場公開でも当初から希望者多数により抽選が予想されていましたから、私は競争率の低そうな連休最終日を狙って申し込み、幸い9月23日に見学することが出来ました。屋根瓦がすべて下ろされた正倉院の屋根を手で触れる距離でみることができます。下地構造や部材の一つ一つ、土居葺きのサワラ板をとめた釘の曲がりまで見える距離です。

屋根の一部は劣化しているものの、そのまま「杮葺です」といってもいいほどの美しさでした。また瓦、土をすべて取り除いた状態での公開でしたから、普段眼にすることのできない棟を覆っていた銅板や金物もはっきり見えます。屋根関者にとっては3年間に5回予定されている現場見学会のうち、今回がベストの機会だったのではないかと思います。そこで今回は、係員から現場で聞いた話を交えて正倉院に用いられた銅板の写真を幾つかご紹介します。

正倉院正倉へのアプローチ

正倉院正倉へのアプローチ。
正面右が素屋根にすっぽり覆われた正倉院正倉。この中で工事が行われています。

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